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色彩豊かな街、グアナファト |
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紫色の壁が泊まってる宿 |
ほとんど眠れなかったのですが、陽が昇ってきたので朝食前に散歩することにしました。7時半過ぎに宿を出て地図を見ながら迷路のような街路を歩き出すと、人びとは露店に焼き上がったパンを運んだりコンロに火をつけてトルティーヤを焼はじめたりと既に忙しそうです。ラテン系は夜中まで遊んで朝は寝ているってイメージは見事に裏切られ、思いのほか勤勉な人たちなのだなあと感心するのでした。歩いていると道がどんどん曲がっていくので自分がどちらに向かっているかは太陽の方向を見ない限りわかりません。でも日が昇るにつれ太陽はどんどん天頂に近づいていき影の方向で方角を判断することも難しくなるのです。といっても緯度的にはハワイや台湾とあんまり変わらないのですが。
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泊まってる旅人たち |
9時には宿に戻らねばなりません。朝食の時間だからです。ここでは泊まっているみんなでテーブルを囲んでわいわいと朝食をいただきます(無料です)。メキシコ国内からの旅行者、バミューダ諸島から来てる女性、アメリカのカップル、長くメキシコを旅しているフランス人の皆さんとテーブルを囲み、提供されるメキシコスタイルの朝食をいただきました。当然のように会話のすべては英語なのですがこれがけっこうなフルスピードで。僕にはゆっくり喋ってくれるんだけど、彼ら同士の会話は半分くらいしか理解できず中学以来長いこと英語勉強してきてるはずなのになあとここでも成田決意。スペイン語も全く理解できてないのですが、何となくなんですがことヒヤリングに関しては英語よりも楽なんじゃないかって感覚はあります。まあ旅先にありがちな誤解ですな。しばらくすると泊まっている日本人の父子が加わり日本語での会話もスタート。大学生の息子さんと恐らく僕と同世代のお父さんで旅行しているそうです。熊本地震の際には支援に来てくれたとかで、ありがたいことです。
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地元スーパーで買い物 |
食事後はまた散歩へ。まずは手近の銀行に出かけてATMから3000ペソを借りました。ホテルの支払いが現金しかだめだといわれ、2泊分で1000ペソほど必要になったからです。買い物にも必要だし。額が小さいせいか案外クレジットカードを使わない旅になりつつありますし。続いて生活物資を補給せねばなりません。今朝目星をつけておいた大型スーパーに行くことにしました。ここでパンツ、靴下、石けん、サンダルなどを調達。ここでなぜか腹具合に不調をきたし、いったんホテルの部屋に戻ることに。朝食のコーヒーにミルク入れすぎたか。すっきりしたところで市内観光でもしようかと思い、まずは全体像を見渡すために
ピリタ展望台に昇ることにしました。
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ケーブルカーで高台まで |
ファレス劇場の裏手でケーブルカー往復チケットを買って山上まで気持ちよく移動するとこの宝石のような街を見渡せる高台に出るのでした。気持ちの良い風が吹く展望台にはわずかな客しか見当たらず、蒼い空と茶色い山々の下に拡がる色とりどりの家や教会はまるで小学生の頃読んだファンタジー小説みたいでした。
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グアナファト市のパノラマ |
耳を澄ませば教会の鐘の音や自動車のクラクション、時には店先のおばちゃんの声まで聞こえてきそうです。時刻はちょうど正午、トンネルで外界から隔絶されたこの小都市こそが村上春樹の描いたハードボイルドワンダーランドそのものじゃないかなあって気がしてきました。妄想ですが。
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ピリタ展望台での動画>
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ケーブルカーの動画>
ぼーっと風を楽しんでいたらあっという間に一時間ほど経過していました。夜景も有名とのことだからまた夕方に来ればいいか、といったん山を下ることに。歩いて下ると確実に強盗に会えます、とガイドブックに書いてあるので大人しくケーブルカーで下りました。メキシコシティでも怖い目に遭ったことも危険を感じたこともなかったのですが、グアナファトは観光地なせいかまったくもってそんな感じはしません。かといって油断は禁物ですけど、なんだか日本国内の観光地を歩いてるような安心感はあります。夕暮れ時にもう一度展望台に行くとして、それまではいくつかガイドブックに乗っているような場所を回ってみようかなと歩き出しました。十分に歩いて回れる程度の町なのです。
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展望台で紫陽花みたいな花をつける木を撮ってたらいつの間にかハチが写ってました。 |
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口づけの小径、火事が心配 |
まず最初に向かったのは「
口づけの小径」と訳される
Callejon del Besoという路地へ。まあ要するに狭い路地を挟んで建坪率一杯一杯にまで建物が建ってる場所なわけですが、両側のアパートに住んでた若いカップルが両家の目を盗んで夜な夜なキスをしてたって伝説があることから恋人たちの聖地なのだそうです(身も蓋もない書き方ですが)。かといって盛り上がってる風でもなく、一組のグループに現地ガイドがそれらしき説明してて、近くの家の軒先で♡マークやらのお土産品を売ってる程度でした。でも新婚カップルとか不倫カップルとかで旅行してる人たちにとっては嬉し恥ずかしポイントなんでしょうねきっと。
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リベラはここで生まれた |
続いて向かったのは
Museo Casa Diego Rivera、
ディエゴ・リベラ博物館。リベラは1886年にこの家で生まれその後パリに渡り奥さんのフリーダ・カーロとともに美術の世界では有名な人物であった、と今さらながら知る。ピカソの5才年下か。デッサンからキュービズム、革命を描いた絵まで触れるほどの距離感で見て回る。時代性からか岡本太郎を感じることもあるし、なぜかその画風から水木しげるを思い出してしまう。僕は美術のことはあまりよくわかってないんだけど、こうして実際に彼の家を訪れ、いくつかの作品に触れるほどの距離で接することでこの先の人生にリベラって名前がくっついて回るんだろうな、と思いました。誰もいないベンチに座って彼の絵を眺めながら、この瞬間もずっと記憶し続けるんだろうなあ、とも。
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メキシコと言えば壁画 |
その後少し歩いて
プエブロ博物館へ。18〜19世紀にこの地方で活躍した芸術家たちの作品を収めてあるのだそうだ。そんなに大きな建物ではなかったけど何となくのんびりしてしまって、いろんなタイプの絵やオブジェを眺めながらこの国の奥深さを垣間見た気になってました。そういえばそろそろお腹空いてきたなあ、なんて考えながら。そういえばそろそろ15時になろうとしております。9時に朝食を食べて6時間。だんだんメキシコ人のペースになってきたのかも。
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イダルゴ市場 |
数日分のTシャツをいくつか補充しておきたいしと
イダルゴ市場に行くことにしました。体育館のような高い屋根の下に出店のようなお店がたくさん並んでいて、なんだか展示会みたいだな、と思いつつ歩き回りました。こういう市場の中にはたいてい食事するお店があったりするのですが案の定良い感じのおばちゃんのお店を発見。
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Tortas |
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調理するおばちゃん |
全く言葉が通じないので、隣に座ってるおばちゃんが食べてる皿を指さして「これと同じのを」と言ったらそのおばちゃんは英語話せるらしくて見事に通訳してくれました。出てきたのはメキシコ風サンドイッチの
Tortas。小さいのと大きいのとどっち?と最初に聴かれてつい「大きいので」と返事したのを後悔するビッグサイズでけっきょく食べきれませんでしたがなかなか美味しかったです。隣のおばちゃんとはしばらく話できて、彼女はメキシコ南部太平洋岸の小さな町から旅行でやってきてるそうです。京都にもいったことがあるっていってたのできっとお金持ちなのでしょう(その割に安い店で食べてるけど)。
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ラパス広場前のバシリカ |
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こういうの好き。
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市場ではグアナファトって書いてあるTシャツを買いまして、若い店番のおねえちゃん相手に必死に値切ったのですがまったく相手にもしてもらえませんでした。市場では値切れって書いてあるのに未だどこでも成功せずです。1枚600円のTシャツ値切っても仕方ないのですけど。イダル市場を出たあとは二つくらい
教会を回り静かな礼拝堂で心を休めてみたりしてたのですが、まだまだ日は暮れませんのでいったん部屋に戻り身体も休めることにしました。二時間ほどぐっすり就寝したらもう夕方5時過ぎに。
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ヒゲが伸びてきた |
まだじゅうぶん明るいのですが、2回目のピタラ展望台に向かいます。今回も往復のケーブルカー券(往復300円)を買って小さなカーゴに乗り込むと、あらさっき市場で話したおばちゃんが乗って来るではありませんか。これから2回目なんですよ、
夜景を見に行くんです、なんて話しているうちに展望台へ。お互い写真を撮り合ったりしました。
しばらくは暗くならないかなあ、なんて思って階段に座ってましたが、想像以上のスピードでどんどん日が暮れていきます。同時に冷たい風がびゅうびゅう吹き始め、ジャンパーとネックウォーマー持ってきて大正解。回りにはお金持ちそうな中国の若者グループと本格的なカメラを抱える中国女性などなぜか東洋系が増えてきて、僕らは夜景が好きな人種なのかなあ、なんて考えているうちに本格的に真っ暗に。ここから先はしばらく写真で。
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徐々に日が暮れていき |
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教会に灯りがともるとあっというまに夜景になっていきました |
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空の色から寒さも伝わるでしょうか |
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カメラの設定をいろいろ変えて撮影しました(Nikonのコンデジ) |
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小学生の修学旅行でみた長崎の夜景を思い出します |
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このピリタ像の下が展望台なのです |
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夕暮れ直前の展望台での動画>
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夜のラパス広場 |
さて夜景を十分満喫したので下界に降りました。身体も冷えてきたことですし。平日の夜というのに
ラ・ウニオン広場の前はお祭り騒ぎ。
グアナファト大学の学生たちとおぼしき楽団のパフォーマンスに大人たちも大喜び。ラパス広場まで足を伸ばすとここにも多くの地元民や観光客がそれぞれに美しい(としか表現できない)時間を過ごしておりました。僕もスペイン語が話せたりするともっといろいろ楽しめるんだろうけどなあ、なんて考えながらもお腹が空いてきたので何か食べることに。
ずっとメキシコ料理ばかりだったので、たまにはそうでないものでも食べるか、とパスタを頼んでみました。公園に面する
Van Goghというレストラン。飲み物はどうしますか?と訊かれ、つい「
メスカルってのに挑戦してみたいんだけど」と言ってしまった。ずっと気になっていたのです。メキシコと言えば
テキーラが有名ですが、それはメスカル酒のひとつの種類なのだそうです(テーブルでネット検索して知った)。はたして運ばれてきたメスカールにはライムやら塩やらなにやらが付属しておりまして、ウエイトレスさんに「これって全部ぶっ込むの?」と尋ねたら「違うわよ、まず飲む。そして適当にこのへんを口に含むの、OK?」と明るく返ってきたので、合点承知のすけよ!とグイっとやりましたところあとはよく憶えておりません(笑)
ホテルに戻り80年代のバラナシの安宿でひねもす天井眺めて過ごすだけの不良学生みたく陶然と酔っ払っておりました。
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人生初のメスカル体験 |
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皆それぞれに楽しい夜を過ごしていたようです
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