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2014年11月13日(木)羽田からヒースロー空港、パディントン駅近くに泊まる

出発進行、なのだ
11月13日木曜日。御徒町のビジネスホテルでは変な夢で妙な時間に目が覚めた。若い社員をたくさん使っている会社で社長をやっているという悪夢であった。時計を見るとまだ朝3時だ。先読み的な時差ボケか。それも悪い話じゃないかもと持参した文庫本を読んだりしているうちに夜が明けた。

朝食は1Fのガストへと案内され、しばらく白米から遠ざかるかもしれんからなと和食を選択したのだがさほどに感慨深いものでもなかった。食後ホテルの周りを一回りすると目の覚めるような青空だ。円安・原油高は東京の空をキレイにするという事実を実感する。

部屋に戻るとNHKでマッサン始まるとこだった。昔の酒飲みの話である。エジンバラまで足を伸ばすのも一興かなあ、でも遠くて寒そうだしなあ、なんてこの後に及んで到着後2泊目以降の予定はいまだ真っ白でなのである。

荷物はこれだけ。
少ない荷物をまとめてホテルを出る。御徒町駅からJRに乗って浜松町から羽田空港国際線ターミナルへ。羽田から日本を出るのはこれが初めてだ。こぎれいなターミナルでパスポート収納用の腹巻きと南京錠を購入し、ANAのカウンターでチェックインする。足元の広い窓側が用意できますがどうしますか?その代わり緊急時にはお手伝いしてもらいますけど、と案内されもちろんそこでお願いした。残念ながらまだ補助の経験はないんですけど、と軽口を言ったら「私もまだなんです。でも大丈夫ですよきっと」と軽く励まされた。機内預けのお荷物は?と訊かれたので「ありません」と答える。

2回のうち最初の機内食。
今回はANAのマイレージを使うので当然ANA機だ。当たり前のようにクルーも日本人であるから旅情なんてのはほぼ感じさせない。ネットカフェのように見えなくもないビジネスクラスシート群の奥に拡がる貧民窟(エコノミー)まで進む。でも僕は前席のない窓側なので足元らくらくな特等席なのだ。3人掛けだが隣は国際結婚の夫婦みたい。腕時計を現地時間に合わせると今ちょうど朝3時くらいになる。睡眠不足も手伝ってこれからガンガン眠ればちょうど良い感じに時差ボケも解消できそうではないか。何もかもうまく運んでる気がしてきたぞ。

ところがだ。シートに仕込まれたディスプレイを立ち上げて映画のメニューを見たのがいけなかった。面白そうな映画が目白押しなのである。しかも新作揃いだ。昨夜もほとんど寝てないので眠くなるまで見ておこうかと作品を選びはじめたのがまずかった。けっきょく現地に着くまでほとんど寝ることなく映画を見続けることになってしまった。

旧満州とシベリアの国境あたり
最初に見たのが「ガーディアン・オブ・ザ・ギャラクシー」。噂には聞いてたけどほんとサイコーなのであります。MARVELもの大好き。80年代ロックが宇宙に響き渡るシーンは甘美としか言いようがない。

次に見たのが「ジャージー・ボーイズ」。クリント・イーストウッド監督作品でこれまた事前に良いって話は聞いてたけどこれも音楽を扱った素晴らしい作品だった。

3本目が「はじまりのうた」。なんか既視感のある話だなあとあとで調べたら監督が「ONCE-ダブリンの街角で」と同じなのだった。ダブリンをNYに、主人公を女性に変えての焼き直しって感じだった。有名女優らしいのだけど歯並びすげえとかそんなことに気を取られてしまったのが残念だったけど楽しめた。

という音楽絡みの映画を3本見てしまったので、ロンドンまでのフライト12時間のうち半分は映画を見ていたことになる。あとはiPadに自炊式で仕込んだガイドブックを読んだり、文庫本を読んだりしていて寝てた時間は1時間にも満たない。修学旅行生なみだな。
空港に着いてからどうやって市内に行くのかとか、両替はどうすべきかとか地下鉄の料金制とかチップは必要なのかとか、全くといってよいほど知らない状態だったのでガイドブックを読み込んで付け焼き刃を磨くのだがまったく光らない。でもまあ現場に行けば何とかなるはずだ。たぶん。

二度目の食事は軽食
二度目の食事が支給された頃から着陸に向けてのアナウンスが増えだした。ディスプレイをマップに切り替えるとフィンランド上空を飛んでいるらしい。もうヨーロッパなんだ。
イギリス上空に差し掛かるが雲が分厚くて国土の様子はほとんどわからない。ヒースロー空港に着陸する直前にようやく農村地帯の風景を見ることができた。ときおり思い出したようにマッチ箱のような家が連なっている。そして日本人パイロットらしいシルキーな着陸だった。

到着したターミナルから移動
荷物を預けていないのでターンテーブル前で過ごす時間もなく、入国審査もあっという間だった(ちょっと並んだけど)。初イギリス上陸の感慨を味わう間もなくまずは両替しておこう。空港の両替所に行き、「3万円ほど」と伝えたのだが「7万円両替したら手数料サービス」などと妙に足元を見るおっちゃんに誘導され(持参した日本円はちょうど7万円だった)面倒になったのでそのまま両替してしまう(結果的にこれが最初で最後の両替となった)。あとでレートを見たらちょっと高かった気もしたけど。

ヒースローコネクト
ヒースロー空港とロンドン市内の間には25kmほどの距離がある。ヒースロー・エクスプレスという列車が速くて便利らしいのだが高い。もう一つ安いのがヒースロー・コネクトという列車だとガイド本に書いてあったので、自販機に並んでそのチケットを買う。自販機の横に職員が立っており、丁寧に教えてくれるのがありがたい。安いといっても1,800円くらいするのだ。日本だと1,000円くらいの距離かなあ。
列車に乗ってしばらくするとみるみるうちに日が暮れていく。時計を見るとまだ16時ちょっとだ。ロンドンの緯度は宗谷岬よりもさらに北、サハリンあたりだそうだ。緯度が高いぶん冬の日照時間は短い。そりゃ観光客は夏に集中するわなあ、なんて考えてるうちに終着駅のパディントンに到着。なぜか大貫妙子の曲が脳内をループしてしかたがない。ああ、大村憲司のストラトサウンド。

パディントン駅
日本から予約した今宵の宿はパディントン駅から歩いてすぐのCardiff Hotelという宿である。当てずっぽうに歩いてたら見当違いの方角に出たので慌てて引き返し、南側に出る。通りにでてまず目に入ったのは連なる真っ赤な2階建てバス。これぞ英国って感じ。でもそれ以外はほとんど異国感がないのだ。なぜだろう。

ウェールズ王国の首都を名前に冠したこのホテルは白い壁の続く美しい長屋(失礼)の一角を占めるこじゃれた宿である。入口に飾られた花が美しい。玄関のドアを開けるとインド系の青年が対応してくれた。僕の部屋は4階(英国式では3F)らしい。エレベーター(リフトか)なんてのはないから赤い階段をひたすら上る。キャリーバッグなど持ち込まず正解だった。

部屋は屋根裏みたいなちょっといい感じの狭さのシングルルームだ。バスタブなしだけどシャワーもある。テレビも壁に掛かっている。読書灯もある(ただし球はない)。荷物を置いてちょっと休んだら外を歩いてみよう。まだ18時回ったところなのだ。


ホテルを出てパディントン駅前をうろうろしてみる。最後にアメリカに行ったのはずいぶん前のことだが、NYやLAとはなんか感じが違うなーというのが最初の印象だった。どちらかといえばむしろ東京に近い感じもする。何がそうさせるのだろうとずっと考えながら歩いていたのだが、以下の要素ではないかと思えてきた。

  1. クルマが左側通行である
  2. 道路やクルマやお店のサイズが日本と変わらない
  3. 人間のサイズも日本とたいして変わらない(縦横)

たぶん上記が僕があまり異国感を感じない理由なのだろう。考えたらここは大陸ではなく日本と同じ島国なのだ。サイズ的にはそんなにでかくなりようがない。加えてアメリカ大陸と比べて古い建物が多いってのもあるのかも。じゃあ日本の都会にどれだけ古い建物が残ってるかと言われるとそうでもないんだけど。あとアメリカ大陸に比べるとLLサイズの人体の比率が少ないようだ。街ゆく人のふるまいを眺めていても、アメリカやインドのように「OSが違うんじゃないか」などと疑わせるシーンはない。土地や歴史が何か影響しているのかもしれない。

このお店でSIMカード購入
夕飯の前にやるべきことがある。iPhone用のSIMカードを買うのだ。空港に自販機があったけど今ひとつ自信が無かったので買わなかった。携帯電話屋さんで買うのが良いってガイド本には書いてあったけど時間が遅いのか見当たらないので、ネットカフェに入ってみた。店に入ると若いちょっとオタクそうな兄ちゃんが店番しており、店にいた若い女性客に一方的にやり込められてる最中だった。早口で良くわからなかったけど、さんざんネットを利用しておいて「さっき1ポンドでいいって言ったじゃない」とか難癖つけられているらしい。けっきょく根負けして「じゃあいいよそれで」と硬貨を受け取った次の瞬間に僕と目が合ってしまった。同情しろって感じだ。オンナはケチで面倒くさいよな、ご同輩、東洋でもそうだろ、とでも言わんばかりだ。だから僕は「それはさておきSIMカードくれ」とつい言ってしまった。

iPhone6を見せて、これで2週間ばかり使いたいんだけど言ったら「Lycamobileの1ヶ月使い放題カードがいいよ」というので、それで良いよと買うことにした。カッターでSIMをマイクロ仕様に加工し、設定までしてくれた。僕のiPhoneの日本語メニューが読めないというので英語仕様に変更したらあとはこねくり回して使えるようにしてくれた。1ヶ月で5,000円という値段は相場的に安くないのかもしれないけど、パケット上限なしってのが気楽でいい。通話もできるらしいのでこの番号をあとで日本の取引先に教えておけばいいわけだ(掛かってこないと思うけど)。25日まで使ったけど回線の繋がりは上々、不具合も無かったので満足している。

ここ数年海外に出るとソフトバンクの海外パケ放題にしたり別途モバイルWi-Fiと契約して持ち歩いたりもしたけど、せっかくSIMフリーiPhone買ったのだし、何と言っても日本と同じ環境で無制限に使えるのは気楽で良い。都会ならLTEで繋がるみたいだから速いし、もちろん圧倒的に安い。

さて次は夕食だ。あまり酒を飲むって感じでもないので(睡眠不足)、ファストフード的なフィッシュ・アンド・チップスの店Sussex Fish Barに入ってみる。店員に「生まれて初めて食うのだがどうしたらよい?」と言ったら適当なサイズのメニューを指さしてくれたので、それとコーラを頼む(酒類販売してないそうで←いちおう聞いてみた)。しばらくして運ばれてきた料理は白身魚フライのフライドポテト付きって感じ。ビネガー垂らしてさほどの違和感なく食べる。ただし量的にポテトは残しちゃったけど。眺めていると次々に客がやってきては持ち帰り(イギリスではTake OutといわずTake Awayというそうだ)していく。だいたい冗談言い合ってるので常連さんが多そう。国民食なんだなあ。

帰り道、雑貨屋でミネラルウォーターと缶ビールを買って部屋に戻る。シャワーを浴びてビールを開けたが唐突な眠けに襲われ半分も飲まないうちに寝てしまった。

ホテルの窓からみる夜景
そんでもって目が覚めたら3時。9時間も時差あるのに几帳面にもまたも朝3時覚醒ですよ。眠気はどこかに消えていったみたいだ。仕方がないので窓の外を眺めたり、洗面所で下着類を洗濯したり(固形洗剤持ってきたのでお湯に浸して絞るだけ、乾燥はオイルヒーターで完璧)してたけど、それでも時間があるのでiPhoneでYouTubeつないで(ここは無料Wi-Fi完備)おそらくは不正アップロードであろうBeatlesの映画 A Hard Days Night を半分みたり。6時過ぎてもまだ暗いのだけど(日の出は7時台)だんだん眠くなって1時間ほど寝ることができた。

今日は時差の関係で24時間+9時間の33時間もある1日だった。考えたら映画ばっかりみてた気がする。それも小さな画面で。明日からはいよいよ本格的にイギリス生活だ。

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