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2015年5月に読んだ本の記録

ちょっと遅くなってしまって2ヶ月前になるけど5月の1ヶ月間に読んだ本の記録。12冊を読んでいて、内訳は小説が3冊、ドキュメンタリーが5冊に実用書が4冊って感じでした。近ごろはKindleでもブックオフでも100年以上前の古典を買うことが多くなってきた。本来であれば10代に読んでおくべき本なのかもしれないけど、若い頃はつい避けてたからなあ、読むべきとされてた本。


期間 : 2015年5月1日 ~ 2015年5月31日
読了数 : 12 冊
日はまた昇る (新潮文庫)
アーネスト ヘミングウェイ / 新潮社 (2003-06-28)
読了日:2015年5月29日
ブックオフで買った僕にとってのヘミングウェイ3冊目。
1926年に世に出た物語だから今から90年も前ということになる。戦間期(もちろん出版されたときはただの戦後だった)におけるヨーロッパの若者たちが描かれる。90年後から見ても自由すぎるし乱れているしお酒飲みすぎだと思うけど、ヨーロッパの一部(地域ではなく階層)はずっとこんな感じだったのかもしれないなあなんて勝手に想像しながら読んだ。むかし読んだ岡本太郎の自伝によれば彼はこのちょっと後にパリで暮らしていたはずだから、そこで描かれたヨーロッパも僕の頭の中で混じり合った。
彼ら主人公がまだ生きているとしたら120歳くらいになってるってことか。こないだ100歳で亡くなった僕の祖母のことを少し考えた。
名作古典と呼ばれる作品を読むのも面白いものだ。すっかり気に入ってしまって今後しばらくはそんな読書が続きそうだ。
フューチャー・オブ・マインド 心の未来を科学する
ミチオ・カク / NHK出版 (2015-02-24)
読了日:2015年5月24日
新聞の読書欄からAmazonアプリで注文しそのままKindleで読み始めた。読み終えるまでの2週間はとても濃厚だった。少し大げさだけどものの見方が変わった気がする。もはや人類は自らの脳や心を最新の科学技術で解き明かしさらに応用しようと試みはじめている。といってもまだまだ神の足元にも及ばぬものだろう、とタカをくくっていたらとんでもない。昔よんだSFのいくつかは実現しているというではないか。ちょっとした衝撃だった。そして希望と恐怖を同時に覚えた。

この本はどこか仏教的だ。知覚とは、感情とは、意識とは、理性とは、自分とは何なのか。テクノロジーを突き詰めていくと必ずそこに突き当たる。そして導き出されようとする結論はどこか釈迦の考えた原始仏教に近い。「自己認識とは、世界のモデルを構築し、自分がいる未来をシミュレートすることである」と著者は定義する。この言葉を憶えただけでもうそこから世界は変わって見えてしまう。

仏教についての本を読んだときにも思ったことだけど、結局のところ「僕」の存在なんてのは脳による幻想かもしれないし、生まれてからずっと継続しているはずの「僕」も脳がそう思いたいだけの仮想なのかもしれない。だからといってそれは隠された悲惨な事実かといわれれば、いやさほどのこともないさ、だったら科学と技術で同じようなもの作れるかもしれないからそれも面白いじゃないか。
ローリング・ストーンズを経営する: 貴族出身・“ロック最強の儲け屋”マネージャーによる40年史
プリンス・ルパート ローウェンスタイン / 河出書房新社 (2015-03-25)
読了日:2015年5月17日
新聞の読書欄で見つけ、Amazonアプリの写真検索で注文(これはすごい技術だ)。
何だろうこの心の底から湧き上がるムカつく感触は。10代に感じた、腐った大人たちへの反感と破壊衝動を思い出させてくれたクソみたいな本だった。ヨーロッパで貴族の家系に産まれるとこういう人生を送ってしまうということだろうか。もし著者がストーンズでなくビートルズのマネージャーになっていたらどうだったろうか。彼らはストーンズほどよい子ではなかったみたいだからそもそも契約が成立しなかった気もするが、下手したら解散することもなく今でもビートルズは健在で、三代目ビートルズブラザーズとかリバプール48とかできてて毎年盆踊りの時期に来日しているかもしれない。
読み終えた瞬間中古で売り飛ばしてやったから安心しな、ミック。
ガウディの伝言 (光文社新書)
外尾 悦郎 / 光文社 (2006-07-14)
読了日:2015年5月14日
素人の下手な論評は失礼になってしまう。それくらい素晴らしい本だった。何かに人生を捧げるということの意味が少しだけ伝わってきた気がした。天才ガウディはさまざまな建築物で神の声を伝えようとしたけど、外尾さんさんは石彫りの仕事と別に、日本語でも伝えることに成功していると思う。この本は外尾さんからの伝言、なのだ。
無実はさいなむ
アガサ ・クリスティー , 小笠原 豊樹 / 早川書房 (2004-06-30)
読了日:2015年5月10日
麻木久仁子さんがお勧めしてたのをラジオで聴いてその場でダウンロードした。実はアガサ・クリスティーを買って読むのは初めてだ。誰かの書棚にあったのを勝手にめくったりはした記憶しかないからだ。
おそらく30年前の中学生だったら心底楽しめたとおもうのだけど、21世紀の50歳の心はそこまで澄み切っていなかったようだ。古典は古典ゆえにその後さまざまな作品で繰り返し引用され、捻られ、さらに複雑化され刺激を増してリスペクトされていく。先にそんなデリバティブに身をさらしてしまったのだろうからこればかりは仕方がない。
クラウド仕事術 120 (超トリセツ)
standards / インターナショナル・ラグジュアリー・メディア (2015-04-25)
読了日:2015年5月8日
本屋で立ち読みしてたらなかなか役立ちそうなので買ってみた。
喫茶店でコーヒー飲みながら数時間でしつこくページをめくる。かなり面白かった。
120のヒントのうち、10くらいは面白いと感じたし、そのうち3つはiPhoneのカメラで撮影してEvernoteに収納した。
他の110が使えなかったって意味ではなく、30くらいは僕の環境では使えないかあまり意味がなかっただけで、残りはたいてい既に使っているか知っているテクニックだったってことです。

クラウドについて話す機会も増えたのでこの本をお勧めしようと思う。
2015年最新版 アンドロイドは初期設定で使うな (日経BPパソコンベストムック)
日経PC21 / 日経BP社 (2015-01-29)
読了日:2015年5月8日
久々リアル書店に行って衝動買い。
むかしむかしPC-98やDOS/Vが全盛だった頃ってこんなムックをたくさん買った気がする。Windows出始めの頃もそうだったかな。最近はすっかり縁遠くなってたのでちょっと懐かしかった。
最初のいくつかはなるほどってためになったけど、他はあんまり使えなかった。
基本的にMacユーザーだからかもしれない。
スペインの歴史がわかる本/聞き流しながら楽しく歴史が頭に入る本
池田かおり /
読了日:2015年5月8日
スペイン準備本としてKindle購入。サイトを見つけてアクセスするとテキストを読み上げてくれる、という新機軸だけど、一度使っただけであとは普通に目で読んだ。自分のペースで読むのが好きだからだ。どうせならPodcastとして準備してくれたら行きの飛行機の中で聴けたりするんだろうけど。
文章も読み上げも、独特の素人っぽさが残ってて、よいです。でもチャート類の凄まじい誤字ぶりが続くのにはちょっと閉口したかも。
老人と海 (1966年) (新潮文庫)
ヘミングウェイ / 新潮社 (1966)
読了日:2015年5月5日
あまりにも有名な本だけど読んでいなかったので読むことにした。ブックオフで。
連休中にゆっくり読んだ。
僕にとって2冊目のヘミングウェイだけど、読み始めてすぐに物語に引き込まれた。
中学生のころだったか、どんだけ推薦図書だ読みなさいなんて言われようと誰が読むかって思ってたのに。

半分くらいまで読んだところで、先日みた映画「Life of Pi」ってこの小説がネタ元だったのかもな、と気づいた。古典ってのはそもそも信じられない数の人間の脳みそに息づいているわけで、こうやっていろんな分野に影響を与えるんだろう。若い頃読んでたら僕もそんな仲間に入れてたのかもしれない(でも、この本若い頃に読んだよって言った妻も、一緒にパイの映画を観てるときヘミングウェイの話なんて一言もしなかったから、忘れる人はしっかり忘れるんだろう)。

まだ僕の人生はしばらく続きそうだから50でこの本を読んだこともけっして手遅れにはならないのだと思う。それにしても古い本を読み出したら新しい本を読む時間がなくなってしまう。

なんて難しいことなど考えずに読むべき本なのかもしれません。
トンデモ偽史の世界
原田 実 / 楽工社 (2008-09)
読了日:2015年5月5日
ブックオフで。著者の「江戸しぐさ」を読んだのでその流れで買ってみた。
偽史の反対が正史なのかといわれればそうではない、という記述にはなるほどと思った。
歴史的には「勝った側が都合良く編纂したものが正史」だからだ。
(アジア諸国や欧米から日本は正しい歴史を学ぶべきといわれるたびに、いや正しい歴史ってのがそれぞれ別々だからこそ違う国をやってるわけで、みんな同じ正しい歴史を共有したときにはそれは同じ国になったってことじゃないのか、っていつも不思議に思っていた)

この本が扱うのはいわゆるトンデモ案件なのだけど、それでも一時は真剣に信じられていたものが多い。
特にナチスなんてのは陰謀論を頭から信じてるうちに世界戦争になってしまったという事例だし、日本だってスケールは違うけど似たようなもんだった。

陰謀論を甘く見てはならない。今から思えばオウム真理教も911もその後のアフガン戦争もイラク戦争もイスラーム国のテロも、その背後にはいつだって陰謀論があった(と書くと陰謀臭いか)。

偽史や陰謀論から距離を置くために僕らが取れる対策があるのだろうか。

それは「ウソの絶対量」というワクチン接種だと思う。

ほとんど世の中を知らなかった人間に強烈な陰謀論を与えるとあっという間に「そうだったのか」となる。田舎から出てきたばかりの青年が詐欺話のカモになるような話しだ。

いかに強烈なウソであっても、それに引きずられないためには分母を大きくするしかない。
あらかじめウソの分母を拡げておくのだ。

そのためには若いうちからできるだけたくさんのウソに触れておけば良い。
ウソとはすなわち「物語」だ。フィクションだ。
小説や、映画や、詩やミュージカルや音楽や演劇やそんな人類がこれまで営々と築いてきたフィクションにできるだけ触れておくことで、どこかの誰かが考えついたもっともらしいウソを相対化できると思う。

過去の偽史をこうやって可視化しておくことはその意味でも記帳だと思う。
「秘めごと」礼賛 (文春新書)
坂崎 重盛 / 文藝春秋 (2006-01)
読了日:2015年5月5日
ブックオフで。不良隠居の本はこれがはじめて。連休中に一日で読んでしまった。
もう読みながら口角がふにふに曲がってしまい、そのうち声を出して笑い始めてしまい、なんだかとっても元気の出る本だった。中身について世間的には酷い話ばっかりなんだけど。

芥川、おまえは中学生か。
中一の頃、授業中にクラスで回ってくるメモ紙ってたいていローマ字で書かれていたっけ。
そんなことを思い出した。

何でもかんでも私生活をSNSにさらけ出すことが今風だけど、それはけっして異常な時代ってことでなく、昔から誰だって何かを書き残しておきたいわけですよ。忘れてしまったり、ただ心の中に秘めておけば良いものを、わざわざ紙とペンを使ってどこかに書いておかないと落ちつかないものなのですよ。ただ文人の場合は残念なことに後々それが発掘されたり、相手が暴露したりって形で世に晒されるだけで。

TwitterやFacebookなんてのはそんな人間の業みたいなもんを爆発させてるだけのものかもしれない。
この本で書かれている秘めごとってのは、「現代はなんでも情報化で可視化されてしまうけど、昔はそんなことなくて良かったのだ」ってオチで終わることではないと思う。

むしろ昔から秘めごとは晒される運命にあった、ただ現代は(幸か不幸か)生前中に晒す道具が転がってるだけのことだ。

人間てのは昔からちっとも立派なんかじゃなくて、阿呆の一生を過ごし、中学生の脳みそを死ぬまで引きずり、後先考えずにとりあえずその辺のチラシの裏に何か書き残さないと気がすまない生物なのだと思う。でなかったら本を読み終わるたびにいちいちこんなところに感想書き散らすわけないじゃないか。
スペイン世界遺産と歴史の旅 プロの添乗員と行く
武村陽子 / 彩図社 (2007-11-12)
読了日:2015年5月4日
今年9月に仕事で行く予定のスペインは25年ぶり2回目、つまりほとんど初めてといっても良いので少しずつスペイン関係の本を読んでいこうと思った。Amazonで探したKindle本。紙の本と違って現地に持っていかなくても参照できるのは気楽で良い。
たくさんの情報と写真が含まれている。一度読んだだけで憶えきれる量ではないから、やはり行きの飛行機の中や現地の空いた時間にタブレットなんかで再読することになるんだろう。そんなシーンを思い浮かべることが今から楽しみだ

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