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2017年3月26日(日)、午前中シティをうろうろし夕方から米国ヒューストン、そして空港野宿

今日はメキシコからヒューストンへ
昨夜は遅くまで広場を巡りメスカル酒を飲んだりしていたのだけど、やっぱり早朝に目が覚めてしまうのでした。目を開けた瞬間「いまどこで寝ているんだっけ?」とあたりを見渡すのはなかなかスリリングな旅情というもので、ここはメキシコ・シティ。今日はもう出国しなければならないのですが、フライトは夕方なのでそれまでどうやって過ごそうかとガイドブックやスマホを眺めながら身の振り方を考える。でもとりあえずは朝飯だ。

<ホテルガリバルディで朝食、ソカロ方面へ歩き出す>

朝のガリバルディ広場
ホテルの朝食
せっかく良いホテルに泊まっているのだからとレストランに行くとこれまでにないちょっと小綺麗な朝食が提供されているのでした。食後はちょこっと広場を散歩。昨夜の大騒ぎは嘘みたいに消え去り、ゴミ類もきちんと掃き清められていました。観光地だからなのか、それとも国民性なのか分からないけど、やっぱりメキシコにはとても良いイメージを持つのです。もちろんまだ酔いの淵にいる裸足の西洋人とか、やたらハイな若者がいたりもするけど少なくとも身の危険を感じることなどありませんでした。

朝のテンプロ・マヨール
ホテルをチェックアウトし、荷物を預けて歩き出す。最初の目的地はメキシコ2日目の現地ツアーで「行くべきです」と断言されたテンプロ・マヨール、都心部に残るアステカ都市の貴重な遺跡です。Googleマップのお導きにしたがい2km弱も歩けば到着、博物館「Museo del Templo Mayor」の開館と同時に入館。まずはお日様のもと並んでいる様々な都市の遺跡を巡ります。


<テンプロ・マヨール博物館>

アステカ都市の模型
もともと湖だったというこの地に作られたアステカ帝国の首都、ここはその神殿たるピラミッドの跡地ということです。神殿の成長とともに何度も増築された城壁の様子がよくわかります。分かりやすい英語で書かれた説明文を子どもたちと並んで一生懸命読みながらふむふむ、とゆっくり歩いていくのです。
神殿の壁
ところで僕もそうだったのですが、中南米の古代文明はすべてごっちゃになっているのが日本人の平均的知識レベルなのだそうです。マヤ、アステカインカをぜんぶ同じ時代に同じような場所で花開いた謎の文明扱いになってるわけです。でもそれって東アジアで言うと長安と奈良とカンボジア、縄文弥生時代から室町時代あたりの出来事を一緒くたに語るような話であって、むちゃくちゃなことらしいです。ちなみにアステカは日本でいえば室町あたりまで栄えた比較的新しい文明。そんなことをあらためて学ぶ場ともなりました。
ガイコツ壁
説明文読んでみてください
メキシコと言えばガイコツってイメージになりつつあるんですけど、やっぱりここにもありましたガイコツ。でもそれぞれに表情があるんですよね。そしてどことなくマンガチックなのです。手塚治虫的なのです。手塚氏が影響を受けたのかも知れませんけど。

デザインされたナイフ
古代から都市国家どうしの交易は主にそれぞれの地域の特産物の交換であったと書いてあるけどたとえばこのナイフみたいなデザインは「付加価値」を高めるために作られたのではないかって考えてしまいます。使用価値以上の交換価値を得るための。そしてそれは調理の現場において料理人の気持ちを高めたり和らげたりしたのだろうなあ、なんて想像しながらその現物を間近に見るのはとてもエキサイトする体験でした。今だったらスマホをお茶目なケースに入れて喜んでる女子高生みたいな。何百年経とうと海の向こう側であろうと人間の趣向ってあんまり変わらないんだなあ。

リアルなお面
展示物は多岐に渡っていてアステカ人の生活をよりリアルに感じさせてくれます。その中でもお面は特に興味深く、なぜってあまりにも表情が豊かだから。写真のように精密に作られているわけではないのですが、省略とデフォルメがかえって目の前にそのモデルさんが立っているような錯覚を引き起こすのです。Facebookに出てきてもおかしくないレベルでまるで現代人です。どうしてこんな表情のお面をつくろうと思ったんだろう。なんで口角さげてんの?って訊きたくなるくらい。

死の神
圧巻はこの内臓ぶら下げた男。どう考えてもゲゲゲの鬼太郎に出てくる妖怪です。作者:水木しげる、とクレジットされてたら頭から信じると思います。死の神、と説明されていますけどこんなユーモラスかつ不気味な妖怪に呼ばれたら逃げるよりもまじまじろ凝視してしまうに違いない。メキシコを旅した水木さんもこれ見たはずだよなあと思って調べたけど時期的には見てない可能性も高い。でもきっと日本の漫画家ってメキシコから大きなインスピレーションを受けているに違いないと思う。勝手に思い込む。


<傾いた教会>

歪んでいる
さて2時間近く過ごしたので外に出るとすっかり陽が昇って真夏の陽気。歩いているとIglesia De Santa Teresa La Antiguaのドアが開けっ放しで入れるみたいだから少し涼もうかなと入ってみることに。びっくりするのは建物全体がかなり傾いていることです。歩くと明らかにどちらかの壁に吸い寄せられていくのです。もともと古城都市だったアステカの首都を強引に埋め立てメキシコシティを作ったところに重たい教会なんかを建てたせいだそうです。教会の資材はアステカの神殿をぶっ壊したものと聞くと、ヨーロッパ人もなかなかやることがおおざっぱというか。
傾いている
建物を出てももう完全に傾きまくってます。日本と同じ地震国なのにこれで良いのかって気はしますが、少なくとも数百年間は大丈夫だったのでまだしばらくはってことでしょうか。去年から傾いた建物を嫌と言うほど見せつけられた熊本人にすればもうドキドキもののアトラクションでした。さて次はどこへいこう。



<ディエゴ・リベラ美術館>

ディエゴ・リベラ美術館
西の方へ歩いているうちに初日夕方に歩いたアラメダセントラルあたりまでやってきました。露店のひとつで缶コーラをかってひと飲み。たしかにメキシコのコーラは美味しい。調べたらすぐ近くにDiego Rivera Mural Museumがあるというので グアナファトに続いて入ってみることにしました。大きな壁画を眺めながら美術もまたメキシコの財産なのだなあとつくづく感じるのでした。それはアステカ、もっと昔からの伝統なのかも知れません。

<ガリバルディ広場に歩いて戻る>


名もなき道を歩く
ひとしきり美術に心洗われた後はまた徒歩。いったんホテルに戻らねばとタクシーや地下鉄での移動も考えたのですが、天気も良いし1km弱だからまた歩こうかなと観光客は通らないであろう住宅地をひたすら歩きました。2014年にロンドン市内からヒースロー空港に移動した際、降りたバス停がどこか見知らぬ高架の上で仕方なくGoogleマップみながら数キロ歩いたことを思い出しました。観光客が歩くはずもない橋の下や住宅地をとぼとぼ歩いていると、ああ二度とここを通ることもないのだろうなあ、いま目のあった人とは死ぬまでぜったい会わないよなあ、なんて不思議な感覚に陥ったのでした。そこまではないけど今回も有名でも便利でもない道を歩くのはけっこう楽しい体験でした(危険な地区でないことは確認済み)。

<ラグニージャ市場とケサディーヤのメキシコ最後のランチ>

ラグニージャ市場
ガリバルディ広場に戻ってきました。まだ時間に余裕があるので少し足を伸ばしてラグニージャ市場へ。お土産でも買おうかとおもったんだけどここは完全に地元密着みたいで家具の館とか結婚式用のドレスとかなかなか面白い品揃えがたくさんでした。それにしても店の人がスペイン語で僕に話しかけるのにはまいった。すっかり地元顔になってるんだろうか。

ケサディーヤ
広場に戻って何か食べなきゃとレストランのバルコニー席に座り、とりあえずビールとお勧めのランチなにかって伝えて出てきたのはケサディーヤでした。これがまた美味しくて辛くてメキシコシティ最後の食事としてこれ以上はない感じでもう僕は満足。とろとろのチーズが焦げたトルティーヤに絡まってる様はなんとなく納豆巻きを思い起こさせるのでした。

パトカーの警官とおばちゃん
ビール追加して気分良く広場を眺めているとパトカーがやってきて警官がレストランに降り立ちます。さっき注文したおばちゃんと何やら笑顔で話しているのを見て、そういえば今朝もこのパトカーがここで洗車してたなあって思い出し、そうか警官はこのおばちゃんの息子なのかもしれない、なんてあれこれ想像するのでした。

<タクシーで国際空港へ>

タクシーで国際空港へ
ホテルに戻り、荷物を受け取って空港までのタクシーを呼んでもらう。ホテルで呼ぶとさすがに空港から来たときよりは高めだろうと思いきや160ペソ(往路は195)とかえって安かったりしてびっくりしたけど、うまく混雑を避けながらベニート・ファレス国際空港まで1,000円弱で安全に移動することができました。以前と違ってスマホのマップで現在地を確認できるので言葉が通じなくても安心感はあります。いろいろ問題視されることも多いスマホ文化だけど、確実に地球を安全にしているって気はしました。

<空港でお土産買って米国ヒューストンへ>

超インフレな空港売店
さて今回4度目の国際空港。だんだん慣れてきました。本来は直行便のANAで成田へ帰りたいところですが、マイルで手配した復路便はテキサスまでユナイテッド航空で飛び、そこで翌朝の成田便に乗り換えというかたちになっております。アメリカ本土って20年くらい行ってないので良い機会かなあ、とまずはテキサス行きのゲートへ。だいぶ時間が余っているのでそうだ余ったペソでお土産でも買っておこうと空港の売店に行くと、なんとまあ市中の10倍くらいの価格設定ではありませんか。でも余らせるよりは、と買い物することに(昨日キャッシングしなきゃ良かった!)。

テキサスの街灯り
楽しかった1週間のメキシコをついに出る時間となりました。この後何かと話題になった(オーバーブッキング引きずり下ろし事件はこの後すぐでした)ユナイテッド機は何の問題もなく雨のメキシコシティを離陸しメキシコ湾上空を一路アメリカテキサスへ。トランプ壁が見えるかもと目をこらしたけど分厚い雲に阻まれそれは叶わずひたすら居眠りしてたら次第に高度を下げ始めて20年ぶりのアメリカ合衆国に到着するのでした。窓の下にはなんとなくメキシコとは違う感じの街あかり。無事にジョージ・ブッシュ・インターコンチネンタル国際空港に着陸しました。

<ヒューストン国際空港で野宿、夜を明かす>

電源が死んでた
乗り換えであってもいったん入国が必要とのことで長い列に並び、ESTA取得を伝えホテルはどこかと訊かれると、ここだ、エアポートが僕の宿だと答え、OKがでると晴れてUSA入国へ。そうなんです、わずか一晩だし空港から遠い市街地までいって一泊し翌朝また戻ってくるよりも空港で野宿しちゃえ作戦を採用したのでした。時刻は夜20時過ぎ、だんだんひとけの少なくなっていくターミナルEによさげな居場所を確保しこれで朝まで快適だわ、とWi-Fiみつけて仕事したりしてたのですが、ふとこのコンセントもしかして生きてない?と気がついたのでした。バッテリーもあるからコンセントは必須ってわけでもないのですがなんかここではない感じがして空港内の旅に出ることに。

宇宙服の中身は牛
ようやく電源確保しかし寒い
無人の地下鉄に揺られてあちこちのターミナルを巡った結果、ターミナルAに電源と横になれる場所を発見、同じように野宿しているみなさんに紛れて休むことに。けっこう仕事も溜まってきたのでここぞとばかりWi-Fiと電力を借りてChromeBookで華麗に仕事できました。さてそろそろ横になって寝ようかな・・と試みるのですがなんかスースーして寒いのです。どうやら空調がもろにこのあたりを狙ってる感。やはり不自然にあいてるスペースにはそれなりに理由があるんですな。風邪引いてもつまらん、とまたも地下鉄の旅へ。

怪しい格好で寝る
見つけた場所はスターバックスのすぐ裏手。でもスタバは営業時間外。考えてみたら僕は1ドルも持っていないのです。ペソも全部使ってしまった。持ってるのは円とクレジットカードだけ。夕食食べようにも空港内どこの売店もレストランもカフェも休業中です。いちおう24時間空港だからゲート内にチェックインしたら営業中のお店もあるんだろうけど、ここは一般の人も自由に出入り可能な場所だから普通に夜はオヤスミモードなのかも。だんだん空腹になってきたけどそれは考えないことにして朝まで眠るしかない。でもお水もない。まあ一晩くらいは大丈夫でしょう。

ネット情報では朝早くにスタバも営業開始するようだしとにかく寝るしかないぞと鼓舞すればするほど目が覚めてしまって仕方なくこの旅行記を書き始めたりしてまんじりともせずにアメリカの夜を過ごすのでした。明日はいよいよ成田を目指します。

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