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2026/01/26 ルアンパバーンからスローボート

昨夜は21時過ぎに就寝したので目覚めは良い。そろそろ托鉢ショータイムだけど今日はもういいかなと思いチェックアウトに向けて荷物をまとめることにした。これからしばらく船で移動だから諸々しっかり充電しとかないといけないし、Wi-Fiもないだろうから撮り溜めた写真をしっかりバックアップしておこう。7時にフロントへ行くと朝食の準備前だった。
スローボートはこのホテルのフロントで予約したのでちゃんと伝わっているみたいで、あとはお迎えが来るまでバナナとココア、クロワッサンを食べて待つばかり。船上ランチを確保できない事態に備えてこそっとパンを確保したりしてたら船着き場までの送迎トゥクトゥクがやってきた。
狭い荷台に合計10人の西洋人を満載して空港の先にある船着場へと向かう。風が肌寒い。いろんなホテルを回ってピックアップ。西洋人たちはやはりなかなかの長旅って感じで荷物もでかい。間違いなく僕らが年長だろうな。
船着場で切符をもらうと階段を降りてメコン川へ。全長30mくらいの木造船には飛行機やクルマのシートを再利用したと思われる座席が並んでいる。一応は指定席らしいのだけどそんなの無関係で座れそうなシートを確保し、荷物は後部に山積みだ。
ほどなくして船尾のディーゼルエンジンが発する爆音と振動を頼りにゆっくりとしたスピードで船は出発した。次の町、パークベンまでは直線距離で100kmほどだがそれを8時間かけて進む。屋根はあるけどほぼオープンエアのスローボートはメコンの水面スレスレをするすると遡上していく。程よい空気、程よい速度、世界中の客と地元の家族連れや青年たちが一つの船に乗って進むのだ。ああ僕はなんだか幸せな気分だ。 船内にはトイレも売店も揃ってる。長旅だ、ゆっくり過ごそうとiPadにキーボードを接続してここまでの旅日記を書き始める。
約1時間ほどで現在まで追いついた。舟は何度か接岸し客や荷物をおろしたりする。1月の乾季だからだろうけどなんて過ごしやすい空気なんだろう。 日本もそうだけど、先進国の人間は常に追い立てられないと生きていけない病に罹患してるのかもしれないと気づいた。働かないと、稼がないと、評価してもらわないと、生きていけません的な。本当はこの空気と水とカオニャオ(もち米)があれば、それだけで幸せになれるかもしれないのに。産業を興し、資本を蓄え、世界に負けない国家の一員として頑張らないと生きていけないという考えに僕らは囚われている。けれど、実際のところは、そんなことをしなくても人間は幸せになれるのかもしれない。
いや、別に幸せにならなくっても良いのかもしれんしな。……なんてことを考えてしまうのは、このまま舟が黄金の三角地帯(ゴールデン・トライアングル)に近づいてるせいなのかもしれない。 

 お昼になったけど朝ご飯の残りというか宿から持ってきたクロワッサンでお腹いっぱいになってしまった。正午を過ぎたら妻は売店でビールを買ってきて飲み始めた。ルアンパバーン市内の1.5倍したというがまあそんなもんだろう。 舟は1時間に何度か河岸で停船し客や荷物を下ろしていくのでだんだんと空席が出てきた。なんとなく好みの良いシートをもとめてみんな自由に移動している。途中下船する地元の人たちはなんとなく前方に、最後まで降りない観光客は船尾にたまる傾向はあるけど。

携帯の電波はほとんど無くなってしまったけど停船時は町が近いのか時おりネットが復活する。急いで仕事がらみを確認したり音楽を聴いたりする。妙な話だけど自分が作ったサイドエフェクトの音源がこの景色にマッチし過ぎて震える(笑) 船尾に近いトイレはインド式でわりと清潔だ。客の減った船内で僕らは居眠りしたり酒を飲んだりゆっくりと時を楽しんでいる。Kindleのラオスを知るための60章をようやく読み終わる。フタユビナマケモノ推しの妻はどういうわけかこの旅行にもナマケモノのぬいぐるみを連れてきているのだが、それが地元民らしきおっちゃんの目にとまり言葉も通じないまま仲良くなっている。 
昼を過ぎると肌寒かった船内の温度も徐々に上がってきたので、僕らは船首部分に席を移動して風を楽しんでいる。船尾付近はエンジンの音が盛大で振動もすごいからこちらのほうが快適だ。HINO製の巨大なディーゼルエンジンが寸断なく働いている日野自動車って船舶用のエンジンって作ってるんだっけ。トラック用を転用してるのかな。あとでGEMINIに確認したところ、「ンジン型式はK13C型で日野自動車の大型トラック「プロフィア」や、大型観光バス「セレガ」などに搭載されていた、排気量約13リッターの直列6気筒ディーゼルエンジン。最高出力: 395PS / 2000rpmで1990年代後半から2000年代初頭によく使われていました。」と教えてくれた。

徐々に日が暮れてきて気温も下がり始め、最初の目的地に到着しそうだ。17時40分くらいにパークベンの桟橋に接岸し、降りるよう促された。細い木製の橋渡しを渡り、坂道を上がると道路の両側に商店やレストランが並んでいる。僕らの宿までは1kmちょっとだというので歩いて移動することにした。すっかり暗くなった道に出てしばらく歩いて僕らの宿Janh Ya Phone Guesthouseだ。川沿いで景色が良いみたい。2階に上がりWi-Fiに繋いで待ってたら妻が鍵を持ってきたので部屋に入る。一泊だけの安宿だけど確かに窓を開けると川が見えそうだけどもう真っ暗だ。そういえばランチはクロワッサンだけだったので何か食べようかと外に出る。標高が高いせいかとても肌寒い。

このホテルのレストランは高いって口コミだからどこか手軽な店を、と検索したらLocal Restaurantという素敵なのか適当なのかわからないネーミングの定食屋が良さそうだ。なぜかGoogleが無視するルートを強引に歩いて行けば5分も掛からず到着した。母娘が調理と配膳、お父さんが隣で皿洗いしてるような可愛い店だった。旅人相手が慣れているのか娘さんは綺麗な英語を話す。翻訳アプリでメニューを調べ、海鮮炒飯とパパイヤサラダ、それにビアラオ大瓶を注文。30分ほど待って料理が届くととても美味しかった。さっきの娘さんが丁寧に調理をしてるとお母さんが味見をしては調味料を少し足したりしている。なんだかとても美しい風景だった。周りには同じ船に乗ってた客もいて客同士で盛り上がってるみたい。他の店では中国人らしきグループと金髪女性が踊り出していた。スローボートの中継桟橋しかなさそうな小さな町だけどここもなかなかいい。
会計すると昨夜のBBQとほぼ同額だった。観光地価格の割には良心的ってことなんだろう。 部屋に戻りシャワーを浴びるとなぜか途中で冷水になりひゃーと叫びながらベッドに潜り込む。今回の旅では初めてのツインルームだ。エアコンもクーラーしか設定できないみたいなので、とにかくシーツにくるまって寝ることにした。でもふと仕事を思い出してiPadで作業。22時には寝たかな。
明日も早朝からスローボートで移動だ。これまで慌ただしく移動したり観光したりしてきたけど、景色を見ること以外やることのない旅も貴重だ。自然と生活のリズムが緩やかになってそれにともない精神も落ち着いてくる気がする。また何かに満足するしきい値がだんだんと下がってきて、ちょっとしたことでも嬉しくて感激したりするようになる。これこそが旅の目的なのかもしれない。仕事や金を追いかけて頭に血の上った僕ら現代日本人にとってとても大切な機会に思えてきた。

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