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2026/01/27 パークベンからスローボートでファイサーイへ

目を覚ますと窓の外は霧で真っ白なメコン川だった。昨日からラオスからタイに向かってメコン川をスローボートで遡上している。ここは中継のパークベンの安宿だ。同室の妻は遅くまで起きてたみたいなので一人でカメラ散歩に出かけた。ひんやりする気温の坂道ではもう道路工事を始めた男たちや、庭で鶏を追いかける一家など元気いっぱいだ。昨夜はくらくて分からなかったけど、こうやって明るい朝に見てみるとまるで崖崩れの現場みたいな崖に宿がたくさん建てられたりしてて若干ビビる。このあたりは地震や大雨も多そうだけど。
船の時間に合わせてるのか、多くの店はもう開いている。昨夜行ったレストランも朝食を提供していた。桟橋に向けて下り坂になるあたりで見つけたお店でバインミーを一つ買う。3万キップ(220円)、目の前で作ってくれる。宿に戻ってひとくちかじるとすこぶる美味かった。ベトナムのフランスパン仕様と違ってもちもち食感だ。 荷物をまとめてロビーに行くともう桟橋行きのトゥクトゥクが待っていた。トラックの荷台に設えたベンチの最後部に座ると勢いよく加速し、道路の段差のたびにクルマから落ちそうになる。
あっという間に船着場。昨日とは違うボートに案内される。こちらは土禁らしく靴を入れるビニール袋が配られた。僕らは今日も後方席に陣取る。昨日と違って前後のスペースが小さくて息苦しいなあ、と思ったけど多分後ろのシートの客が足で蹴ったのだろう。車やら列車やらのシートを再利用した座席は床に紐で括られている程度で容易に前後するのだ。 二日目ともなるとペースがわかっているのかそれぞれのペースでゆっくり過ごせるもんだ。
あいかわらず携帯電波は届いたり切れたりだけど、タイに近づいたせいか昨日よりはマシな気もする。11時から仕事のリモート会議だったが、最初の1時間ほどは電波がなく参加できず。最後にちょっとだけ挨拶できたからいいか。えっラオス!?楽しんでくださーい、というのだけは確かに聞こえた(笑)
その後退屈だったけど、ふとこの辺りはゴールデントライアングルと呼ばれた三角地帯だったことを思い出した。そうだ高野秀行氏の書いたアヘン王国潜入記を読むしかない、とKindleを探すと文庫版が見つかった。しかもポイントが貯まってて無料だ。電波が回復した頃合いでダウンロードし、iPadで読み始める。15年ぶりくらいかもしれないけど、だいたい覚えてた。でも現地近くで読むのは全く別の体験だった。一気に半分以上読み進めたら結構時間が経っていた。 
徐々に日が暮れ出し、地元民らしき乗客は停船のたびに下りていく。時に多くの荷物を背負い、たまにはバイクまで運んでいる。船着場には家族連れがお迎えに来てて微笑ましい。なんかいいよなあ。 17時を回ると進行方向左手はもうタイ王国だ。明らかに資本主義の香りがする。

立派な橋をくぐり、中州の横をしばらく進むと船着場が見えてきた。ファイサーイだ。昨日と同じように船を降りると乗客やお迎えでごった返す。昨日よりは少し大きな町のようだ。予約していたホテルに進む予定だったけどさっきBooking.comからメールが届き、施設の故障で泊められなくなったよと。仕方なく別の安宿を手配済み。そこまでは10分ほど歩かないといけない。ところが妻がトイレに行きたいと言い出す。路傍でってわけにもいかんだろうからとすぐ近くの飲食店に入り、トイレを借りることに。ビアラオ1本買って飲むけどパークベンはもとより、ルアンパバーンよりも安かった。奥のテーブルでは家族連れがBBQを食べている。なんともいい。

気分爽快になって宿まで歩き始めると気持ちの良い夕暮れになってきた。オレンジとクリーム色が入り混じった空と涼しさが心地よい。小学生のグループがハローなんて言ってくる。ほとんど暗くなる頃に新しい宿らしき場所についた。宿というよりレストランだけどなあと確認してたらレジのおばちゃんが流暢な英語でここよ、と教えてくれる。Somewhere Over The River Guesthouse & Restaurantというなんともしゃれてる名前。レストランのレジが宿のカウンタも兼ねているのだった。
案内されたのはさっき予約したところだから最後の一部屋ってことらしく、1階というか地下の窓なし部屋だった。でも清潔だしWi-Fiも届くしなんの不満もない。なんせ二人で2000円ちょっとなのだ(元々予約してた宿より安い)。 
今日もランチ抜きだったので腹減った、と荷物を置いて通りに戻る。少年グループがニイハオ、なんて声かけてくるので日本人だぜ、と答える。なぜか韓国人だろう、と声かけてきた中年男性もいたが、だからと言って何か悪巧みしてる風でもない。往年のカルカッタなら最大級警戒したろうけどここではそんな感じは微塵もないのだ。

いくつかのお店の店頭メニューをめくり、ここがいいんじゃない?と入ったのはMingmeung Retaurantという名の食堂だ。昨夜の店ともちょっと雰囲気が近い。ビールはもちろんだが、それにたけのこ炒め、カオピヤック、カオニャオ(もち米)(スティッキーライス/カオニャオ)、空芯菜を頼む。ここでも30分ほど待たされたけど、これがまた美味しかった。
店主らしきおばあちゃんがスティッキーライスを持ってきてラーラーイ(美味しいよ)と微笑んだけど、ほんとそうだった。竹で編んだ容器に入れられたカオニャオ(もち米)は、これだけで食べられるくらい美味しかった。ラオスの食事は、同じ米食民族である日本人の味覚を直撃するのだ。相変わらず周りは西洋人だらけだが、この味に感激している度合いで言えば、僕らの方が数段上に違いない。そんな妙な優越感に浸りながら、夜は更けていった。
足下にはなぜか猫と雌犬が落ち着いている。食べこぼし狙いと思うけど激辛も大丈夫なのかな。 会計して部屋に戻り、昨夜とは段違いの熱々シャワーで疲れをとると、満腹感も手伝って早々に寝てしまった。



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